こんにちは、Soulfunktion Guitar School ギター講師の大西隆裕です。
「練習は続けているけれど、なかなか思うように弾けない」
そんなとき、練習時間や回数を増やすことだけを考えていませんか。もちろん繰り返すことは大切ですが、その前に、今の自分が何につまずいていて、何を身につけたいのかを整理してみてほしいと思います。
関連記事の「ギターが上達しないと感じたら|練習の目的と進め方」では、目的の決め方や日々の取り組み方を紹介しました。
今回はそこから一歩踏み込み、技術・演奏中の判断・気持ちの持ち方という3つの視点から、自分に必要な練習を考えてみましょう。
「戦略的な練習」とは、今の自分に必要なことを選ぶこと
「戦略的」と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。私がここでお伝えしたいのは、特別な近道や、誰にでも当てはまる練習法を探そうということではありません。
弾けるようになりたいことに対して、何が課題なのかを確かめ、その課題に合う練習を選ぶ。これが、私の考える戦略的な練習です。
同じ「コードチェンジで止まる」という悩みでも、押さえる形は分かっているのに指が間に合わないのか、次のコードを思い出すところで迷っているのかでは、取り組みたいことが変わります。
また、練習は苦手を直すためだけのものでもありません。「得意なフレーズを、もっと表情豊かに弾きたい」という目標があってもよいのです。
まずは「何となく上手くなりたい」から、もう一歩具体的に考えてみましょう。
①技術|思ったとおりに手を動かし、音を出せるか
一つ目は、実際に音を出すための技術です。左手の指運び、右手のピッキング、両手を組み合わせたときのタイミングなどを確認します。
たとえばフレーズの途中で音が途切れるときも、すぐに「指が遅いからだ」と決めず、次のように分けて見てみましょう。
- 左手:次の音を押さえる指が、弾くタイミングに間に合っているか。
- 右手:ピックが引っかかったり、狙った弦とは別の弦を弾いたりしていないか。
- 両手の連携:弦を押さえる動きと、ピッキングのタイミングが合っているか。
弾きながら判断しにくければ、苦手な部分を短く撮影してみてください。毎日撮る必要はありません。あとから音や手の動きを確認するために使います。
右手だけならできることが、左手を加えると難しくなる場合もあります。そのときは、右手の練習だけを増やすのではなく、両手を合わせる場面をゆっくり確かめてみましょう。
大切なのは、回数だけを数えるのではなく、何を確認しながら繰り返しているかです。
気になる点がいくつもあっても、まずは一つ。動きだけでなく、実際に鳴っている音も聴きながら取り組んでみてください。
②判断|知っていることを、演奏中にすぐ使えるか
二つ目は、頭の中で分かっていることを、演奏に間に合うタイミングで使えるかどうかです。
たとえば、コード表を見れば押さえられるのに、曲の中でそのコードが出てくると手が止まってしまうことはないでしょうか。
この場合、指の動きだけでなく、コード名を見て形を思い浮かべるところで、時間がかかっていないかも確かめてみましょう。
「コードの形を知っている」ことと、「必要なときにすぐ思い出して使える」ことは、分けて考えられます。演奏中に間に合わないからといって、これまで覚えたことが無駄だったわけではありません。次は、それを演奏につなげる段階なのです。
まずは弾く前にコード名を確認し、形を思い浮かべてから押さえてみる。慣れてきたら、短いコード進行の中で次のコードを準備してみる。そんなふうに、覚えたことを使う練習へ進めてみてください。
少し経験を重ねた方なら、コードのルート音の位置を見つけることや、アドリブで次に弾く音を選ぶことにも、同じ視点を持てると思います。初心者のうちから全部に取り組む必要はありません。今弾きたい曲に必要なことから始めましょう。
また、TAB譜の数字だけを追っていて、フレーズのリズムやメロディーが曖昧になっている場合は、原曲やお手本を聴くところへ戻ってみてください。
何を弾きたいのかを確かめ、そのための判断と動きを繰り返し結びつけていく。最初は一つずつ考えながらでも、少しずつ、演奏の流れの中で使える状態を目指していきましょう。
③気持ち|できない時間に、どう向き合うか
三つ目は、課題に取り組むときの気持ちの持ち方です。私は、この部分もとても大切だと感じています。
今できないことに丁寧に向き合う練習には、どうしても面倒さや難しさがあります。「こんなの自分にできるのかな」と思ってしまうこともあるでしょう。
だからといって、無理に明るく振る舞ったり、不安を感じないようにしたりする必要はありません。
私が大切にしてほしいのは、「今できない」という事実を、「自分にはできるようにならない」という結論にしないことです。
「この曲は無理だ」ではなく、「今は、このコードから次へ移るところで止まる」。そこまで具体的にできれば、曲全体を諦める前に、取り組める部分が見えてきます。
そして、その先にある楽しさも想像してみてください。
「ここがつながったら、好きな曲のサビを気持ちよく弾ける」
「このフレーズが弾けるようになったら、きっと楽しい」
そう思えることが、地道な練習を続ける理由になるのだと思います。
もちろん、取り組み方が今の自分に合っていなければ、気持ちだけで頑張り続ける必要はありません。範囲を小さくしたり、誰かに見てもらったりして、「これなら試せそう」と思えるところまで戻してみましょう。
ギターが好きという気持ちと、少し負荷のある練習をどう両立するかについては、「ギター上達に大切な3つのこと|好きな気持ちと1日10分の練習」で詳しくお話ししています。
3つを見渡して、今取り組むことを一つ決めよう
ここまで3つの視点を挙げましたが、毎回すべてを同じ割合で練習する必要はありません。
次のコードの形で迷っているなら、まずはコード名と形を結びつける。形は分かるのに音がきれいに出ないなら、押さえ方や両手のタイミングを確認する。課題が大きすぎて気持ちが折れそうなら、取り組む範囲を小さくする。
今の状態に合わせて、優先することを選び直すという使い方をしてみてください。
そして、一度の練習ですべてを解決しようとせず、選んだ課題に丁寧に取り組み、前と比べてどうなったかを確かめましょう。
自分では何が課題なのか分からない場合は、身近にギターを弾ける方や、講師に演奏を見てもらってください。「今の自分には、何から取り組むとよいか」を一緒に整理することも、レッスンの大切な役割だと考えています。
まとめ|練習する前に、取り組む方向を確かめよう
戦略的な練習は、楽にできることだけを選ぶことでも、難しい課題をたくさん詰め込むことでもありません。
技術、演奏中の判断、気持ちの持ち方。この3つから今の自分を見つめ、弾けるようになりたいことに向けて、必要な練習を選ぶことです。
一つできるようになると、また「次はこれを弾きたい」と思えるものが出てくるかもしれません。その楽しみを持ちながら、一つずつ積み重ねていきましょう。
「自分の場合は何から見直せばいいのだろう」という方は、体験レッスンでも遠慮なくご相談ください。弾きたい曲や今の演奏をもとに、ご自宅で取り組む内容を一緒に考えていきましょう。
