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ギターの「できた」には段階がある|知識を演奏につなげる練習

こんにちは。
加古川のギター教室、Soulfunktion Guitar School ギター講師の大西隆裕です。

「コードの形は覚えたのに、曲の中で出てくると手が止まってしまう」
「一度は弾けたフレーズなのに、もう一度弾くとうまくいかない」

そんなときは、練習する内容を増やす前に、今の自分にとっての「できた」が、どんな状態なのかを確かめてみてください。

調べれば分かること。考える時間があればできること。曲の流れの中でも使えること。どれも前進ですが、それぞれ同じ段階ではありません。

今回は、簡単な計算をたとえにしながら、覚えた知識や動きを、演奏の中で使える力へ育てていく考え方をお話しします。

目次

「1+1」と「12×12」で考えてみよう

目の前のホワイトボードに「1+1」と書かれたら、多くの方は、計算の手順を一つずつ考えなくても「2」と答えられると思います。

では、「12×12」や「16×16」と書かれていたら、どうでしょうか。

  1. スマートフォンなどで答えを調べる。
  2. 頭の中で計算し、少し考えてから答える。
  3. 答えがすぐに思い浮かぶ。

「12×12」の答えは144、「16×16」は256です。同じ答えにたどり着いても、そこまでに必要な手順や時間は違いますよね。

これは、計算が得意かどうかを比べる話ではありません。「答えを知る方法がある」ことと、「必要なときにすぐ使える」ことの違いを、ギターの練習にも置き換えて考えてみてほしいのです。

コードを「知っている」と、曲の中で「使える」は違う

たとえば、コード名を見てからコード表を調べ、一つずつ指を置けば音を鳴らせる。これは、先ほどの計算でいえば、答えを調べながら取り組んでいる段階です。

次に、コード表を見なくても、少し考えれば形を思い出せるようになる。さらに、曲の中でそのコードが出てきたときにも、拍に合わせて切り替えられるようになる。

同じ「そのコードを押さえられる」でも、演奏に使える状態は変わってきます。

伴奏に合わせたり、誰かと一緒に演奏したりするときには、コードを思い出す間だけ、音楽の流れを止めるわけにはいきません。

そこで目指したいのが、「何だっけ?」と考える時間を少しずつ減らし、必要なタイミングに間に合うようにすることです。

難しいことも、やがて「1+1」のように、迷わず取り出して使える状態へ近づけていく。私は、ギターの上達では、この部分も大切にしてほしいと思っています。

ただし、初めから何でも即答できなければいけないわけではありません。コード表や譜面を使って確認することは、そこへ進むための大切な過程です。暗譜をして、譜面を見ずに弾くことだけを目標にする必要もありません。

「できた」は、音・タイミング・安定感で確かめよう

練習中に一度うまく弾けたら、うれしいですよね。その成功は、もちろん大切にしてください。

そのうえで、次は「どんな条件ならできるのか」を、もう少し具体的に見てみましょう。

  • 音:指が押さえる場所に届くだけでなく、狙った音が鳴り、音の長さも確認できているか。
  • タイミング:途中で考え込んで止まらず、決めたテンポの中で次の音を出せるか。
  • 安定感:一度だけでなく、同じ条件で何度か弾いても、同じようにできるか。

「ゆっくりなら、音を確認しながら何度か弾ける。でも、曲のテンポではコードを思い出すのが間に合わない」。そこまで分かれば、できている部分と、次に取り組みたい部分を分けられます。

ここでいう速さは、速弾きの速さだけではありません。次の音を出すまでに、必要な判断や準備が間に合っているかということです。

慌てて指を動かすのではなく、何を弾くか分かったうえで、拍に合わせて音を出す。その状態を、音の正確さと一緒に確かめていきましょう。

覚えたことを、演奏に間に合う形で練習しよう

では、どうすれば「考えればできる」から「曲の中で使える」へ近づけるのでしょうか。

私がすすめたいのは、今取り組む内容を絞り、確かめる余裕のある速さから、実際に使う流れへつなげていくことです。

二つのコードで、判断と動きをつなげてみる

たとえば、CとGをそれぞれ押さえられるようになったら、その二つを交互に弾いてみましょう。

最初は弾く前にコード名と形を確かめます。次に、メトロノームなどに合わせ、一つのコードを4拍ずつ取って、切り替えてみてください。右手の動きが難しければ、まずは4拍の最初に一度だけ鳴らす形でも構いません。

このとき、切り替える瞬間になってから次のコードを考えるのではなく、今のコードを鳴らしている間に、次の形を思い浮かべておくことを意識します。

判断や指の動きが間に合わないなら、テンポを落としたり、形の確認へ戻ったりしてください。間に合わないまま急いで繰り返すより、「準備してから切り替えられる条件」を探してみましょう。

少し慣れたら、音の鳴り方や拍が崩れていないかを確かめながら、テンポや右手のリズムを一つずつ変えていきます。最後は、取り組んでいる曲の前後の流れにも戻してみてください。

なお、次のコードを思い出せているのに指が間に合わないなら、判断だけでなく動作の確認も必要です。どこが課題か迷う場合は、「ギター上達のための戦略的な練習|3つの視点で課題を見直そう」も参考にしてください。

一度できたあとにも、確かめる時間を残す

一度弾けたら、すぐに難しいことだけへ進むのではなく、その内容をまた確かめる時間も残しておきましょう。

練習の最後にもう一度弾いてみる。次の練習でも同じテンポで確認する。曲の中に戻してもつながるかを試す。こうした確認で、今どのくらい使える状態になっているかを見ていきます。

前には弾けたのに今日は止まったとしても、それだけで「覚えていなかった」と決めなくて大丈夫です。どこから確認し直すとよいかを見つけ、また取り組んでみてください。

短い時間でも、何を確かめるかを決めて積み重ねる。練習の具体的な組み立て方は、「ギターが上達しないと感じたら|練習の目的と進め方」で紹介しています。

迷う時間を減らして、音楽を聴く余裕を作りたい

「1+1」のように使える状態を目指すのは、何も考えず、機械的に演奏するためではありません。

「次のコードはどう押さえるんだっけ」と考えることに精一杯だったところから、歌や伴奏を聴き、音の長さや強弱にも意識を向けられる演奏へ進んでいきたいのです。

覚えたことを迷わず使えるようにして、その分、音楽をどう表現するかに目を向ける。そこまで含めて、練習の先にある楽しみを考えてみてください。

また、今の課題を完璧にするまで、新しい曲へ進んではいけないという意味でもありません。新しいことを楽しみながら、以前覚えたことも確認する。両方を行き来して、自分の演奏で使えるものを増やしていきましょう。

まとめ|「一度できた」を、使える力へ育てよう

答えを調べれば分かる。考える時間があればできる。そして、必要な場面で迷わず使える。

ギターでも、この違いに目を向けると、同じ課題の中に、次に取り組むことが見えてきます。

「できた!」を喜びながら、次は「曲の中でも安定して使えるか」を確かめてみる。

いきなり難しい内容を増やすだけでなく、今覚えたことを、好きな曲の流れの中で使えるように育てていきましょう。

「コードは覚えたのに演奏が止まる」「今の練習から、どう次へ進めばよいか分からない」という方は、体験レッスンでも遠慮なくご相談ください。できているところと、次に確かめたいところを一緒に整理していきましょう。

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