こんにちは。
加古川のギター教室、Soulfunktion Guitar School ギター講師の大西隆裕です。
「Fコードを押さえると、どこかの弦が鳴らない」
「指を立てようとしても、隣の弦に触れてしまう」
そんなとき、もっと強く握ろうとしていませんか。
私がまず確認してほしいのは、力の強さだけでなく、親指・手首・指の付け根が、それぞれどこにあるかということです。指先だけを立てようとするのではなく、指を立てやすい位置に手全体を持ってくる、と考えてみましょう。
今回は、写真を見ながら、Fコードを押さえる左手の使い方を順番に確認していきます。
今回練習するFコードの形
ここでは、1フレットで人差し指を寝かせ、6本の弦を使うFコードを取り上げます。一本の指で複数の弦を押さえる「バレー」を使った形です。
中指は3弦の2フレット、薬指は5弦の3フレット、小指は4弦の3フレットを押さえます。人差し指では、主に1・2・6弦の1フレットを鳴らせるようにしていきます。
- 中指・薬指・小指のアーチを保つ
- 人差し指の斜め側面で、1・2・6弦を押さえる
- 親指の位置から、手首と指の付け根の位置を調整する
押さえやすさは、ギターの構え方でも変わる
指の形を見る前に、ギターの構え方にも目を向けてみましょう。
クラシックギターのようにネックを高く構えられる場合は、肘の曲げ方や腕の位置を調整して、手首を大きく曲げずにFコードを押さえやすい位置を探せます。
一方、右足にギターを載せ、ネックを比較的横向きに構える場合には、同じように肘を曲げるだけでは、指を立てやすい位置へ手を持っていきにくいことがあります。
その場合は、肘や腕の位置に加えて、手首の角度でも調整します。構え方に合わせて、肘と手首の使い方を組み合わせるというイメージです。
ただし、ネックが低いまま手首だけを深く曲げて解決しようとする必要はありません。ネックを少し持ち上げたり、向きを変えたりすることも含めて、無理のない位置を探してみてください。
構え方全体については、「ギターの持ち方と姿勢|初心者が力まず弾くためのポイント」でも写真付きで紹介しています。
①中指・薬指・小指のアーチを保つ
最初から全部の指を一度に完成させようとせず、まずは中指・薬指・小指で押さえる3本の弦を確認してみましょう。
写真のように、それぞれの指をアーチ状に保ちます。薬指と小指は、指先が斜めに寄り添うような位置を目安にしてみてください。無理に指同士をくっつける必要はありません。
意識したいのは、指先だけで弦をつかもうとするのではなく、指の付け根から指先へ力を伝え、アーチを保ったまま弦を押さえる感覚です。
まず指先を弦に置き、そこから音が鳴るところまで少しずつ押さえてみます。強く握り込んだ結果、指が寝てしまったり、関節の形が崩れたりしていないかも見てください。
指を立てにくいときは、付け根の位置を見る
ここで特に確認してほしいのが、人差し指から小指までの「指の付け根を結ぶライン」と、指板の表面の位置関係です。
指の付け根がネックの裏側へ入り込んだままだと、指先だけを頑張って立てようとしても、弦に向かう角度を作りにくいことがあります。
私が目安にしているのは、薬指と小指の付け根あたりが、指板の表面よりも少し前へ出る位置です。ここでいう「前」は、ネックのヘッド側ではなく、指板から弦が浮いている側、つまり弦の上方の空間を指します。
その位置を探すと、付け根から指先を弦へ下ろすための余地ができ、指をアーチ状に保ちやすくなります。隣の弦に触れずに、狙った弦を押さえる形を探してみましょう。左肘をギターに寄せていくことで、その形を上手く作ることができます。
すべての付け根を同じ位置まで出したり、手を大きく突き出したりする必要はありません。「指を立てる」前に、「指を立てられる場所に指の付け根を置く」と考えてみてください。この調整には、後で説明する親指の位置も関わってきます。
②人差し指の斜め側面で、1・2・6弦を押さえる
次は人差し指です。中指・薬指・小指とは役割が違い、人差し指は複数の弦にまたがる形で使います。
写真を参考に、指の腹の柔らかい部分だけで押そうとせず、親指側の斜め側面を弦に当ててみましょう。大きく横向きに倒すのではなく、少し向きを変えて、音の鳴り方を比べてみてください。
このFコードでは、3・4・5弦はほかの指が押さえています。人差し指だけで6本すべてを均等に押しつぶそうとせず、まずは1・2・6弦を鳴らすことに意識を向けます。
曲げる場所の目安は、指の付け根にある関節です。指先から数えて第3関節、MP関節とも呼ばれる部分を使い、指全体を弦へ近づけます。指の途中の第2関節が大きく曲がり、1・2弦から浮いてしまわないかも確認してください。
人差し指は1フレットの金属のフレットとおおむね平行に置き、指先を6弦から大きくはみ出させない位置を探します。
そのうえで中指も置き、中指の指先から第1関節にかけてが指板に対して垂直に近づき、2弦に触れずに押さえられるかを確かめてみましょう。角度をきっちりそろえることより、必要な弦が鳴ることを優先してください。
親指で強く挟みすぎていないかを確認する補助練習
少し形に慣れてきたら、右腕をボディに添えて楽器を安定させ、左の親指の圧を少し抜いてみる方法もあります。余裕があれば、親指をほんの一瞬だけ離してみてください。
指の形を保ち、左腕をごく軽く自分の身体側へ引く方向の力も使いながら、親指で挟む力だけに頼っていないかを確かめます。肩を後ろへ反らしたり、肘を大きく引いてネックを引っ張ったりする練習ではありません。
親指を離して弾けることが目的ではないので、楽器が動いたり、腕に余計な力が入ったりするなら、親指を戻してください。難しい場合は、この補助練習は飛ばして構いません。
③親指の位置から、手首と指の付け根を調整する
最後に、ここまでの指の形を支える親指の位置を確認します。最後の項目ですが、ほかの指がうまく置けないときにも、一緒に見直してほしいところです。
私がFコードで最初の目安にしているのは、ネック裏の中央から、ほんの少し下に親指の腹が触れる位置です。
ここでいう「下」は、ネックの幅に対して1弦側の方向です。ネックの長さ方向では、指板側の人差し指と中指の間あたりを目安にします。
親指をその位置へ少しずつ動かしながら、手首の曲がり具合と、薬指・小指の付け根の位置がどう変わるかを確かめてください。
親指をネックの上の方に残したままでは、ほかの指のアーチを作りにくい場合があります。そのときに親指の位置を少し下げ、手首の角度も合わせて調整すると、指の付け根を弦の側へ持っていきやすくなることがあります。
親指の位置を調整する → 手首と手全体の位置を整える → 指の付け根から弦へ指先を下ろす。
このつながりを意識すると、「もっと指を立てて」と言われてもできなかった理由が見えてくるかもしれません。指先だけに力を足すのではなく、形を作るための位置関係を見直してみましょう。
ただし、親指を下げれば下げるほどよいわけではありません。手の大きさやネックの形、ギターの構え方にも合わせて調整します。親指の位置だけで、手首の角度が自動的に決まるわけでもありません。
手首を深く曲げて耐えるのではなく、ネックの高さや腕の位置も含めて、押さえやすいところを探してください。手首に痛みが出る場合は、無理に続けず一度ギターを置きましょう。
最後は1本ずつ弾いて、どの弦が鳴るか確認しよう
形を作れたら、6弦から1弦までをゆっくり1本ずつ弾いてみてください。
音が出ないときは、すぐに握る力を増やすのではなく、その弦を押さえる指と、隣の指の両方を見てみましょう。
たとえば2弦が鳴らない場合、人差し指がうまく当たっていない可能性もあれば、中指が寝て2弦に触れている可能性もあります。後者なら、人差し指を強く押し込んでも解決しません。
中指・薬指・小指のアーチは保てているか。人差し指の当たる位置はどうか。親指と手首を調整すると、ほかの指が置きやすくなるか。一つずつ確かめてみてください。
まとめ|指先を頑張らせる前に、手全体の位置を見直そう
Fコードがうまく鳴らないとき、必要なのは握る力を増やすことだけとは限りません。
中指・薬指・小指のアーチ、人差し指の当て方、そして親指・手首・指の付け根の位置関係。それぞれをつなげて考えることが、今回お伝えしたかったポイントです。
写真とまったく同じ形を作ることよりも、実際に弾いて、隣の弦に触れずに音を鳴らせる位置を探してみましょう。
「指を立てようとしてもできない」「親指を動かすと、手首が窮屈になる」という方は、体験レッスンでも遠慮なくご相談ください。
ギターの構え方から、指の付け根や親指の位置まで、実際の手の形と音を一緒に確認しながら、押さえやすいところを探していきましょう。




